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遺留分

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遺留分というのがあります。「いりゅうぶん」と読みます。

これは、ある一定の範囲の相続人に認められている権利です。

■事例■
A男とB女は夫婦です。二人には、甲という子がいます。Aは遺言で、自分の財産 をすべてX団体に遺贈しました。
■■■■

この事例の場合、本来のA男の相続人は、B女と甲です。そして、その法定相続分 は各2分の1です。

しかし、A男は遺言で、自分の財産をすべてX団体に遺贈してしまっています。

そうなると、B女と甲には、相続する財産がないことになります。

B女と甲が、「これで構わない」と思うのであれば、これで終わりです。A男の財産が、 X団体へいくだけです。

でも、これをそのまま認めると、B女と甲にはあまりにも酷です。とりわけ、B女は A男の財産に依拠して生活していたかもしれません。甲にしても、年老いたA男の 面倒を見てきたかもしれません。

他方、被相続人(事例のA男です)が自分の財産を自由に処分したいという要請もあります。

いろいろな場合が考えられますが、相続人にもある程度の財産を確保する権利を認めて いるのが遺留分という権利です。

要するに、「被相続人の財産処分の自由」と「相続人の保護」の両者の妥協点を見 出したわけです。

この遺留分は、全ての相続人に認められているわけではありません。兄弟姉妹以外 の相続人の場合だけです。具体的には、子、直系尊属、配偶者です。

また、遺留分として主張できる範囲も、誰が相続人かによって異なります。

直系尊属が相続人の場合は、3分の1
それ以外の人が相続人の場合は、2分の1

先ほどの事例で、A男の財産が1000万円だったとします。相続人は子甲と配偶者 B女ですから、遺留分として主張できる範囲は2分の1の500万円となります。

したがって、被相続人としては、遺留分の主張をされずに、完全に自由に処分でき る財産の範囲は2分の1までということになります。

なお、遺留分の主張はしなくてもかまいません。主張をするか否かは、相続人次第 です。

ですから、先ほどの事例で、甲もB女もともに、X団体への遺贈を、
「それでかまわない!」
と考えるのであれば、遺留分の主張をする必要はありません。



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