債務の相続 ■このサイトは、後藤行政書士事務所が運営しています。 |
相続というものは、何をプラスの財産をもらうだけではありません。マイナスの財産をもらうこともあります。 マイナスの財産と言うのは、簡単に言えば「借金」です。 被相続人に借金がある場合には、当然その借金も相続の対象となります。 ちょっとここで、次のような事例を考えてみましょう。 ■事例■ A男とB女は夫婦です。二人には、甲乙丙という三人の子供がいました。このような事情の下、 甲男は300万円の借金を残して、死亡しました。 ■■■■ この場合、その他の事情は何もないとすると、相続人はB女と甲乙丙の4人です。 では、プラスの財産のときと同じように、4人で遺産分割協議を開いて、この借金を 誰か特定の一人に相続させることが出来るでしょうか。例えば、丙が300万円の借金 を相続するというように、決めるということが、出来るかということです。 もしこれを出来るとすると、どうなるでしょうか。 借金ですから、当然に債権者がいます。甲男にお金を貸すなどして、「お金を払え」と言える人です。 この債権者は、丙にしか請求できないことになります。丙が相続したわけですから。 となると、もし丙が極端な場合無一文だったときには、債権者はお金の回収が出来ないことになります。 もともと無一文なことに加え、借金を負うので自己破産という道をとるやも知れません。 これでは債権者に酷です。 そこで、借金(債務)については、遺産分割協議によって、相続人間の話し合いだけで 分けることはできないことになっています。 ではどうなるかというと、法定相続分に応じて、当然に分けられることになります。 先ほどの事例によりますと、法定相続分は ですから、B女が150万円、甲乙丙が各50万円ずつ借金を負うこととなるのです。 そうすれば、もし仮に丙が無一文だったとしても、債権者としては、50万円の損失のみですみます。 確かに債権者からしてみれば、損失はありますが、それは相続ということが発生している以上は、 仕方のないことなのです。 なお、もし仮に債権者の承諾が得られるのであれば、誰か一人に借金を相続させることは 可能です。この場合には、債権者の承諾があるからです。先ほどまでのお話との違いがお わかりでしょうか。先ほどまでのお話は、相続人間で行う遺産分割協議のお話です。ここ の場面には、債権者は登場しません。 しかし、最後のところのお話には、債権者が登場しています。そして、債権者の承諾を得 ています。ですから、簡単に言えば、登場人物全員の了解の下、誰か特定の人だけが借金 を負うことになるわけです。ここが先ほどまでのお話とは、違うのです。 先ほどまでのお話は、 無断転載・転送を禁じます。 Copyright(C)2004 後藤行政書士事務所 All Rights Reserved. |
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